サロン実例1「スタッフが育つサロン」
私のコンサルタントとしての師匠は某県に数店舗を構える美容室のオーナーです。
元々はディーラー、メーカー時代からの付き合いで、当時まだ新人だった私が新規開拓したサロンでした。新規で取引を始めるまでに1年以上もサロンに通い、取引もないのに毎週営業時間終了後にオーナーと面談していたのを今でもよく覚えています。
オーナーは大学の外国語学部を卒業後に渡英、帰国後美容師になったという異色の経歴の持ち主で、飄々としていながらも人情味のある人物です。
まだまだブラック経営なサロンが多い中、早くからサロンを法人化。保険制度は勿論、一般企業と同等の福利厚生を実現していました。そしてサロンを完全週休2日制にしています。但し、休業日のうち月に2日はサロンを開放しており、レッスンを自由に行うことができるようになっています。この日はユニットチームや社内に設けられた研究チームで集まって自主練や会議を行い、技術の向上だけでなくスタッフ間のコミュニケーションをしっかりと図る時間としています。先輩指導の下で一日集中して技術を磨くことで、朝練夜練を1人でするよりも技術力の向上スピードの面でかなりのアドバンテージがあるようです。また、会社としてセミナーへの参加も積極的にアシストしていました。
また、毎年1週間ほどを連休を取ってスタッフ全員で海外旅行に行くのも常でした。慰労の目的もありますが、多感な時期の若者が異文化に触れることで人間としての多様な価値観を知って成長してほしい、との思いから50名近いスタッフを連れての海外旅行。最近ではアジアを制覇したのでヨーロッパにも足を延ばしている様です。ヨーロッパは時間の関係上、どうしても弾丸になってしまって辛い、とか…。
サロンの1例を出しましたが、このようにごく普通の美容室でもこれだけの環境を整えることができるのです。第三者から見てこのサロンがどう見えているのか、オブザーバーとして参加してほしいとの要請を頂き、何度か会議にも参加させて頂きましたが、とにかく高いモチベーションを持った人材育成が完璧で、スタッフだけで勝手に会議が進行しているのがとても印象的でした。スタッフ間の議論で結論が出たら、それをオーナーが確認して細かい箇所を擦り合わせ。結論が近づくまでほとんどオーナーは議論には参加しません。
私のコンサルティング方針はまさにこのオーナーの考えに基づいたものになっています。ミーティングにおいてもこちらから色々な提案をすることはありません。サロンを深く知らない第三者が会議だけに参加して上から目線で意見をしたところで、かえって現場の反発を生むのは経験上よく知っています。現場とオーナーの意向とのギャップを無くし、サロンをまとめ上げ1つの方向へ向かうアシストをする…それがコンサルタントのあるべき姿だと思います。コンサルタントが会議の主役になるなど言語同断です。
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